先天異常と二分脊椎の発生頻度

神経管閉鎖障害の発生リスク低下のため、欧米では葉酸摂取に対する取り組みが30年ほど前から行われてきました。アメリカでは1998年から全ての小麦粉への葉酸添加が義務付けらているそうですよ。

 

これらの対策の結果、1998年にはアメリカ、イギリス、フランスにおける神経管閉鎖障害の発生率は日本を下回るまでになりました。

 

日本人の先天異常発生頻度は増加傾向

モニタリング調査

現在日本では国による先天異常のモニタリングすら行われていないそうです。この事実には呆れてしまいます。
もともと日本では発生率が低かったのもあり、調査や研究が遅れていたようですが、
その間に海外では研究と対策が進み発生率が低下しているのに、日本では食の欧米化や結婚・出産の高年齢化が進んだ結果、先天異常の発生リスクは年々高まっています。

 

先天異常モニタリング調査の現状

国に代わって現在日本で、先天異常をモニタリング調査しているのは日本産婦人科医会(旧日本母性保護医協会)です。

 

1950年代末~1960年代初頭に起きたサリドマイドによる薬害被害は、医師同士の情報交換システムの不備や先天異常児の出生データの未整備が被害を拡大させる一因になったとされ、その反省に立ち1972年に日本母性保護医協会によって先天異常モニタリングが開始されました。

 

現在では日本産婦人科医会に所属する全国約330の分娩医療施設協力のもと、全国の出産児の約10%をモニターしています。

 

データの解析・検討は横浜市大国際先天異常モニタリングセンターで行われており、日本における唯一の先天異常監視システムとして重要な役割を果たしています。

 

先天異常児の出生頻度と二分脊椎の発生頻度

日本産婦人科医会のモニタリングデータから抽出した2001年~2010年における先天異常と、その中から二分脊椎のみを取り出した発生頻度は次の通りです。

 

スマートフォンで閲覧中の方は、横向きにしていただけると以下の表やグラフが見やすくなります。

先天異常、二分脊椎の発生頻度

年度

出産児総数

奇形児総数

出産頻度

二分脊椎数

発生頻度

2001 97,389 1,651 1.70% 50 0.051%
2002 89,255 1,577 1.77% 49 0.055%
2003 84,644 1,555 1.84% 52 0.061%
2004 77,233 1,366 1.77% 39 0.050%
2005 72,229 1,409 1.95% 34 0.047%
2006 76,322 1,377 1.80% 37 0.048%
2007 79,588 1,485 1.87% 38 0.048%
2008 85,855 1,707 1.99% 46 0.054%
2009 92,256 1,926 2.09% 57 0.062%
2010 91,082 2,102 2.31% 54 0.059%

 

※モニタリングデータ内で奇形児と表記があるところはそのまま表示。当サイト内では先天異常児という表現も使用します。

 

この数字を見る限り、先天異常児(奇形児)の出産頻度は増加傾向にあります。では神経管閉鎖障害(二分脊椎)のみの発生頻度を見てみると

 

奇形児出産頻度等グラフ

 

こちらは上昇傾向とは言えず、横ばいで推移しています。他の先天異常の発生頻度が増加傾向にある中、神経管閉鎖障害(二分脊椎)の発生頻度が横ばいになっているのはなぜなのでしょう?

 

これは私の推測ですが、2000年に厚生労働省(当時は厚生省)が葉酸摂取を推奨する通達を出したことと関係しているのかなーと思っています。

 

妊娠計画中の方に葉酸摂取が推奨されたことで、他の先天異常と違い発生頻度の増加を抑制できているのかもしれませんね。

 

神経管閉鎖障害のリスク低下への課題

近年横ばいで推移している神経管閉鎖障害の発生率を欧米のように低下させるためには、妊娠適齢期の女性の葉酸摂取率を向上させるしか今のところ方法はありません。

 

しかし日本では今でも、出産適齢期の女性の葉酸摂取率はわずか10%~20%というデータもあります。これでは大幅な発生率の低下は見込めそうにありません。

 

妊婦だけでなく、もっと多くの女性に葉酸の重要性を知ってもらいたいものです。

 

関連ページ一覧

妊婦

妊娠を希望する女性、つまり妊活中は妊娠1ヶ月以上前から1日400μgの葉酸を、食事以外に栄養補助食品(サプリメント)で摂取することが望ましいと厚生労働省が発表しています。今ではごく当たり前になった妊婦...

天然素材

葉酸サプリについてネットで情報収集していると、食品などから抽出した天然葉酸を配合したサプリの方が安全性が高いという情報が溢れています。私も以前は「天然葉酸の方が安全だ!」と勘違いして、妊活中は実際に天...

タイミング

妊娠初期のママが葉酸不足だと胎児に先天異常が発生するリスクが高まることを「葉酸が妊娠期・授乳期に大切な理由」で説明しました。では赤ちゃんを先天異常から守るためにはいつごろから葉酸を飲み始めるべきなので...

二分脊椎の発生頻度

神経管閉鎖障害の発生リスク低下のため、欧米では葉酸摂取に対する取り組みが30年ほど前から行われてきました。アメリカでは1998年から全ての小麦粉への葉酸添加が義務付けらているそうですよ。これらの対策の...

葉酸サプリの効果的な飲み方

ヒトの体は食品中に含まれる栄養素を余さず吸収し、利用できるわけではありません。むしろ食品中の栄養素の多くは、吸収できずに体を素通りして排泄されてしまいます。必要な葉酸を効率よく摂取するための方法をご紹...

葉酸が多く含まれる食品

葉酸が多く含まれている食品は、主に緑黄色野菜やレバーなどです。他にもいろいろな食品に含まれていますので、献立作りの参考にどうぞ。食品100gあたりの葉酸含有量※単位はμg(マイクログラム)鶏レバー13...

ビタミンやミネラルを考える上で知っておきたい、摂取量に関する専門用語が2つあります。それが「推奨量」と「耐容上限量」です。ちなみに葉酸の場合、妊婦の推奨量は1日480μg、耐容上限量は1,400μgと...

胎児の成長

葉酸といえば妊婦や妊娠を希望する女性が飲む栄養素というイメージが強いですが、具体的にどんな効果が期待されるか?についてご紹介します。胎児の先天性異常のリスクを抑える効果葉酸にはタンパク質や核酸に影響し...

妊娠できずに悩んでいます。葉酸を摂るといいと聞いたのですが本当ですか?葉酸を飲むと妊娠の確率が上がるというデータは無いようです。しかし妊娠された時に赤ちゃんが二分脊椎になるリスクを軽減できますから、妊...